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公開:2024.03.07 医療情報

飲酒とがんの関係について

KARADA内科クリニック副院長の末谷です。 今日は、自分としてもとても頭の痛い話題についてです。

2024年2月19日に健康に配慮した飲酒に関するガイドラインが公表されました。

内容は、以下のような内容が記載されています。

  • アルコールを飲んだことによる身体への影響
  • 飲酒量からみた純アルコール量の求め方
  • 飲酒量によって発症する病気のリスク
  • お酒との付き合い方

その中でも、今日は、飲酒と関係する消化器がんについてお話させてください。ちなみに、この後、よく出てくる純アルコール量の20gとは、ビール(5%)500ml、日本酒1合、チューハイ(7%)350ml缶1本などに相当します。

大腸がんと飲酒の関係について

大腸がんについては、男性、女性ともに1週間150g、1日20gの純アルコールでリスクがあがるといわれています。特に、大腸のなかでもS状結腸や直腸といったお尻に近い側の大腸に多くできやすいといわれています。

食道がんと飲酒の関係について

食道がんに関しては、女性に関してのデータはありませんが、男性は少しでも飲酒すればリスクとなるというデータがあります。これは、アルコールは肝臓によってアセトアルデヒドという物質に代謝されます。アセトアルデヒドは食道がんのリスク因子となります。特にお酒を飲むと顔が赤くなる方は注意が必要です。顔が赤くなる人は、もともとアセトアルデヒドを分解しにくいことがわかっており食道がんのリスクが増加します。

胃がんと飲酒の関係について

胃がんに関しては、男性は少しでも飲酒される方が、女性に関しては1週間に150g、1日に20gの純アルコール量を摂取することで発症リスクがあがることが報告されています。 特に、アルコールを体内で分解しにくい人が飲酒を続けると、発見が難しいびまん浸潤型胃がん、いわゆるスキルス胃がんの原因となることが報告されています。

肝臓がんと飲酒の関係について

肝臓がんについては、男性は1週間に450g、1日に60gの純アルコール量を、女性は1週間150g、1日20gの純アルコール量を摂取することで発症リスクがあがることが報告されています。

がんの話からは少し外れますが、肝臓は飲酒量によって機能を落とすことも知られています。肝臓の病気のリスクは、1日のアルコール摂取量が10年以上にわたり40gを超えると著名に増大します。アルコールが原因となる肝臓の病気は脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変が知られています。肝硬変に至ることで肝臓がんのリスクは上昇します。

すい臓がんと飲酒の関係について

実はすい臓がんは5年間以上、飲酒習慣がある方はリスクとなるという報告はある一方で、何gを飲むとリスクが増えるという明確なデータは存在しません。しかし、アセトアルデヒドがすい臓がんのリスクとなるとは言われています。

また、飲酒量が多くなるとすい臓の機能にダメージを与える慢性すい炎の原因になります。また、飲酒量が増えれば糖尿病などの生活習慣病のリスクとなります。この糖尿病や慢性すい炎はすい臓がんのリスクになります。

お酒との付き合い方は

本当に嫌な話ばかり書かせていただきました。とはいえ、アルコールにはストレスを発散させるといったメリットもあります。また、人との関係を円滑にすることができるといった利点もあります。自分もお酒が好きです。

今までお話しをしているがんの診療を行われている消化器を専門とされている先生方もお酒を飲む方はたくさんいらっしゃいます。 今後も、まったく飲まないというわけにはいかないと思います。

では、どのように飲むべきか。 量としては1日の純アルコール摂取量は男性40g以内、女性20g以内が良いとはされていました。この量を超えると生活習慣病のリスクとなるからです。しかし、これはあくまで目安です。

体格、生まれつきのアルコールの強さによって個人差があります。自分の飲める量を見極める必要があると思います。 また、お酒を飲まない日をつくることも大事です。よく休肝日は週に2日つくりましょうと言われています。これは5日連続で飲んで2日休みをつくるというものではありません。2日飲んだら1日休むというペースでお酒を飲みましょうというものです。

個人的には、アルコールが完全に代謝される時間を作るためにも1日おきぐらいにするのが良いのではないかと思います。この時間が、肝臓だけでなく、食道や胃、腸、すい臓、を休めることにつながります。 自分もお酒を飲むペースは注意していますが、飲む量はなかなかコントロールできないことも多くあります。そこで、自分は必ず各臓器の検査をやっています。お酒を飲む方は、是非、検討してみてください。

KARADA内科クリニックでできること

当院で行えるのは、胃カメラや大腸カメラ、肝臓をみるための腹部エコー検査、すい臓をみるための超音波内視鏡といった検査を行っています。近隣の画像センターと力を合わせて全身がんドッグも行っています。一人でもがんで苦しまれる方が減ることを願っています。 ご興味がある方はお気軽にご相談ください。

苦痛のない内視鏡検査

鎮静剤を使用した苦痛のない内視鏡検査

当院の内視鏡検査はご希望の方に対し鎮静剤を使用することで、眠っている間に受けていただけます。
経鼻内視鏡検査や、鎮静剤なしでの内視鏡検査も可能です。

消化器の専門医が診察

丁寧な診療かつスピード感のある診療を心がけています。

専門医の資格を有する医師が診療することで、迅速な診断と、より正確な治療を提供することを心がけています。
腹痛などの症状は不安につながりますので、是非ご相談ください。

当院の検査を詳しく知る

こちらをご確認ください。

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KARADA内科クリニック副院長。日本消化器学会専門医として数多くの臓器を専門とし、逆流性食道炎や便秘などの身近な病気から、各臓器のがんの診療に従事。内視鏡検査は胃と大腸カメラをあわせて年間約2,000件の実績。川崎市立多摩病院にて内視鏡センター副センター長、消化器内科病棟長などを歴任し、現職へ至る。

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