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大腸ポリープ

大腸ポリープとは

大腸ポリープはガイドラインで「大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変で、組織学的には良悪性を問わない」と記載されています。つまり、大腸の内側に盛り上がった「いぼ」のようなもので、良性のものから癌などの悪性のものまで含まれています。ポリープは“良性”と考えられている方もいらっしゃいますが、ポリープは良性だけとは限りません。

良性のことが多いことは確かですが、癌の一部も含まれています。 大腸ポリープは、通常型腺腫、鋸歯状ポリープ、ポリポイド腺癌、炎症性、過誤腫性、間質性、リンパ組織性、内分泌性、その他に分類するとされています。ポリープのほとんどが、通常型腺腫(管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛腺腫、平坦腺腫)と鋸歯状ポリープ(過形成性ポリープ、sessile serrated adenoma、混合型ポリープ、traditional serrated adenoma)です。
この、腺腫性ポリープと鋸歯状ポリープの一部は、徐々に成長して癌化する可能性があります。

大腸ポリープの症状

無症状であることが多く、健診にて便潜血を指摘されることがあります。ほとんど症状がないので、大腸ポリープを見つけるためには大腸カメラ検査が必要です。

診断に必要な検査

大腸カメラにて診断されます。大腸カメラの際にポリープの表面構造を拡大し、切除が必要なポリープか診断します。

治療・経過観察について

大腸カメラでの切除が治療です。 大腸カメラ検査の際に、大腸ポリープがあれば同時に切除してくることも可能です。 大腸ポリープを切除するには、スネアという円状の金属の器具をポリープにかけて締め付け、切り取ります。切除したポリープは回収して組織検査を行います。

スネアを用いて切除する方法には、①電流を用いてポリープを切除するポリペクトミーという方法、②電流を使わずに切除するコールドポリペクトミーという方法③平坦なポリープや早期大腸がんに生理食塩水を注入してからスネアをかけて締め付け、切り取る内視鏡的粘膜切除術(EMR)という方法があります。

①ポリペクトミー

茎のあるポリープに行われることが多いです。スネアをポリープの付け根にひっかけます。徐々にスネアを締め、電気を流して焼き切ります。

②コールドポリペクトミー

コールドポリペクトミーは電流を使わずに切除する方法です。病変部位だけをそのまま切除するだけなので、多少術中に出血はしますが、粘膜を傷つけずに治療ができるため、術後の出血は少なく、合併症の危険性も低い安全な方法です。

③内視鏡的粘膜切除術(EMR)

ポリープや大腸がんは腸の表面の粘膜層から発生します。早期のポリープや大腸がんは粘膜の表面に沿って平坦に増大します。EMRでは、粘膜層のすぐ下の層(粘膜下層)に生理食塩水を注入することで粘膜層を持ち上げます。平坦な病変を切除しても筋肉より深い層(腸に穴があいてしまう層)に通電されることがなく切除できます。

よくある質問

癌化しやすいのはどのようなポリープですか?

腺腫 担癌率(たんがんりつ)とは、ポリープの一部に「がん」が併存する割合です。 腫瘍性ポリープ(腺腫)は徐々に大きくなり、大きくなるにつれて担癌率が上昇します。 腺腫の担癌率は論文によって幅がありますが、大まかに分かりやすくまとめると次のようになります。

  • 径 5mm未満・・・ 約0.5%
  • 径 5~10mm・・・ 約5%
  • 径 10~20mm・・・約20%
  • 径 20~30mm・・・約25%
  • 径 30mm以上・・・約30%

腺腫の性質によっても癌化率は違ってきますが、径10mmを超えると担癌率が一気に上昇します。 このことからも、小さい段階で発見して切除することが最も効率的に「がん」を予防することができる方法であることがご理解いただけると思います。

どのくらいの頻度で腺腫が見つかるのか?

無症状の方に大腸カメラを行うと、腺腫は約30%の人に見つかります。 ちなみに癌は約1%。過形成性ポリープは20%くらい。 有症状では腺腫は約50%が見つかります。