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公開:2025.05.07 医療情報

便秘はなぜよくない? 〜実は認知症とも関係しています〜 

こんにちは。KARADA内科クリニック 五反田院 副院長の末谷です。 
今日は「便秘がなぜ体によくないのか」について、わかりやすくお話ししたいと思います。 

便秘というと、「お腹が張る」「苦しい」というイメージが強いですが、実はそれだけではありません。 
便秘を放置すると、体全体、そして脳にまで悪い影響が出ることがわかっています。 

腸に便がたまるとどうなるの? 

便が腸の中に長くとどまると、腐敗ガスや有害物質(アンモニアなど)が発生します。これが腸内環境を悪化させ、悪玉菌が増えてしまうのです。 

悪玉菌が増えると、 

  • お肌のトラブル 
  • 疲れやすさ 
  • 免疫力の低下 など、全身にさまざまな影響が出てきます。 

さらに、血液を通じて有害物質が体中を巡ることで、動脈硬化や生活習慣病(高血圧・糖尿病)のリスクも高まると考えられています。 

便秘と認知症の関係 

最近の研究では、便秘と認知症にも関係があることがわかってきました。 

腸と脳は「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」と呼ばれる深い関係があります。 
腸内環境が悪くなると、炎症を引き起こす物質が血液に乗って脳に届き、脳の機能に悪影響を与えるのです。 

また、便秘による 

  • 栄養不足(食欲が落ちるため) 
  • 慢性的な炎症 も、認知症のリスクを高める原因になります。 

特に高齢の方は、便秘が続くと「腸の炎症+栄養不足+脳への悪影響」が重なり、認知症が進行しやすくなると言われています。 

もちろん腸にもよくありません。 

便秘が続くと、腸に係わる次のような病気のリスクも上がります。 

  • 痔(ぢ) 
  • 大腸憩室症(腸に小さな袋ができる病気) 
  • 大腸がん 

腹痛や膨満感、不安感から、日常生活の質(QOL)が大きく低下してしまいます。 

便秘の原因 

  • 病気に伴う腸そのものが狭くなっている(大腸がんなど) 
  • 食物繊維不足 
  • 水分不足 
  • 運動不足 
  • 加齢(腸の動きが鈍くなる) 
  • 排便の我慢(習慣化) 
  • 精神的ストレス 
  • 薬の副作用 

などが考えられます。特に突然の便秘は大腸がんが隠れていることもありますので、検査をお勧めいたします。 

当院でできること 

お一人おひとりの体質や症状に合わせた診察を行っています。 

  • 必要に応じて生活習慣や食事の改善アドバイスも行います。 
  • 便を柔らかくする薬、腸の動きを促す薬など、症状に応じた治療薬をご提案します。 
  • 大腸カメラや腹部のレントゲン、血液検査などを行い、原因をしっかりと調べます。 

便秘は単なる「お腹の不調」ではありません。全身の健康、そして脳の健康にまで関わる重大なサインなのです。 

便秘は一人で悩まず、気軽にご相談ください。あなたに合った改善方法を一緒に考えましょう。 

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KARADA内科クリニック副院長。日本消化器学会専門医として数多くの臓器を専門とし、逆流性食道炎や便秘などの身近な病気から、各臓器のがんの診療に従事。内視鏡検査は胃と大腸カメラをあわせて年間約2,000件の実績。川崎市立多摩病院にて内視鏡センター副センター長、消化器内科病棟長などを歴任し、現職へ至る。

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