消化器内科
KARADA内科クリニック副院長の末谷敬吾です。
作曲家である坂本龍一さんが3月28日に死去されました。坂本龍一さんは、2021年1月に直腸がんを公表されていました。「戦場のメリークリスマス」や「energy flow」など誰でも聞いたことがあるような数多くの楽曲を手掛けられた方の訃報に自分もショックをおぼえました。また、消化器がんで苦しまれた方がいることに悔しさを覚えました。
さて、発表された直腸がんはどのような病気でしょうか。ご紹介させていただきます。
直腸がんとは、大腸がんの一種類です。大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなります。
図で見ていただけるとわかりやすいかと思いますが、直腸は大腸の最後で肛門につながっている部位です。便が体外に排出されるまでに蓄える働きをしています。 直腸がんを含む大腸がんは増加傾向(図2)で、2019年のがん患者数では1位になっています。
直腸がんだけをみても、全がん患者さんの6位でした。今後も患者数は増加していくことが予想されています。
直腸がんを問わず、日本人のがんの予防には、禁煙、節酒、食生活、適度な運動、適正体重の維持、感染の6項目が重要であるといわれています。大腸がんに関して、確実にリスクを上げるものは喫煙と飲酒、上げる可能性が高いものが肥満と言われています。
リスクを下げる可能性が言われているものは、食物繊維や不飽和脂肪酸などが言われていますが確実とは言えません。現時点では、バランスの良い食事、適度な運動、規則正しい生活を心がけることが大切です。
直腸がんの症状で最も多いのは、出血(血便)です。他には、便秘を自覚されたりや便が細くなったりもします。排便した後の残便感を感じることもあります。 意外かもしれませんが、直腸がんは進行しないと痛みをなかなか感じません。これは、直腸に痛みを感じる神経がないためです。
血便があっても痛みがないために、痔かなと自分で判断されてしまう方がいます。これはとても危険です。一度、消化器内科へ受診することをお勧めします。
症状がある時はもちろんですが、症状が出る前に検査を受けていただきたいのが本音です。
なぜなら、症状が出るような大腸がんは進行している可能性が高いからです。進行がんを治療をするためには、入院して大腸を切除したり、抗がん剤などの治療を検討しなくてはなりません。
一方、大腸がんの前がん病変となる大腸腺腫や早期大腸がんであれば負担の少ない大腸カメラで切除することもできます。大きさによっては当院のように外来で切除することもできます。 図3を見ていただければと思います。
30代後半から大腸がんの数が増え始めているのがわかるでしょうか。この表が表すことは35歳前後から前がん病変が出てくることが推定されます。40歳が近くなるなどの目安に大腸カメラを検討してみてください。
当院では、医師の診察はもちろん、大腸カメラを行うことが可能です。
大腸カメラを行う際には、鎮静剤を使用することも可能です。鎮静剤を使用すると眠りについてもらうような状態となりリラックスして検査を受けることができます。より患者さんが楽にできる工夫をしていますまのでお気軽にご相談ください。また、大腸カメラを行った際に、大腸ポリープがあれば同時に切除することも可能です。
大腸カメラの詳しい内容、方法はホームページをご覧いただければ幸いです。
最後になりますが、坂本龍一様のご冥福を心よりお祈りいたします。