消化器内科
KARADA内科クリニック副院長の末谷敬吾です。 4月からKARADA内科クリニックに消化器内科を立ち上げて5カ月がたちました。 皆様のおかげで、安全なそして精度の高い医療をお送りできているのではないかと思います。心より感謝致します。
その中でも、よく質問される項目を適宜、ブログに掲載させていただきます。皆様の疑問の解決に役に立てばと思います。
胃痛や胃もたれなどの症状で受診される方がよくいらっしゃいます。胃が悪いのかもしれない、逆流性食道炎かもしれないと胃薬を希望される方が多いのですが、一度も胃カメラをやったことがない方は胃カメラを検討してみてください。
自分はまだまだ若いから大丈夫と思っている20代、30代の方も他人ごとではありません。なぜなら、若い方にも胃がんの原因となる慢性胃炎が潜んでいるかもしれないからです。
胃カメラをやる目的は、当たり前のことではありますが食道、胃、十二指腸の病気をみつけ、治療につなげることです。胃カメラでわかる病気には胃がんや食道がんといった命にかかわるような悪性腫瘍や、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃アニサキス症といった緊急疾患、胃酸過多によっておこるような逆流性食道炎やピロリ菌の感染による慢性胃炎があります。
胃もたれやみぞおちの痛みを訴えられる方の多く方は、逆流性食道炎や慢性胃炎である可能性が高いと思います。もちろん、残念ながら胃がんである方もいるとは思います。 逆流性食道炎であれば、胃薬を飲むことや生活習慣の是正などで対応することで症状が改善すればよいかと思います。
一方で、慢性胃炎にはしっかりした治療が必要となることがあります。慢性胃炎には、ピロリ菌が感染したことによって起こることがあるからです。
正式名称は、ヘリコバクターピロリといいます。ピロリ菌は胃の粘膜に感染する細菌です。ピロリ菌の感染は、大体2歳から6歳程度に起こると言われています。以前は、浄水されていない水から感染したといわれていましたが、浄水施設が整備され水からの感染は減っています。
現在の感染経路の大半は親からのキスや口移し、保育園などでの感染が原因と言われています。(残念ながら他の経路もあるのではないかとは考えられています。) 一方で、大人同士のキスでうつることはほとんどありません。これは免疫機能が発達するためと考えられています。
ここで、大事なことは子供ができる前にピロリの除菌をしておくことがお子さんの胃がんのリスクを下げることにつながるということです。ピロリ菌のことを話すとかなり長くなるので、別の機会に詳しくお話しさせていただきます。
ピロリ菌の感染によって、萎縮性胃炎と鳥肌胃炎という慢性胃炎が発症することが知られています。いずれの胃炎も胃がんのリスクとなります。
萎縮性胃炎は、多少時間をかけて進行し胃がんが発生することが知られています。鳥肌胃炎は若年者に発症するピロリ菌が関連する胃炎です。鳥肌胃炎は、萎縮性胃炎の方と比べると60倍以上近く発がんしやすいという報告があるため、胃癌のリスクが高く注意が必要です。
さらに、鳥肌胃炎から発生する未分化型がんといわれるタイプの胃がんはスキルス胃がんとよく言われる粘膜の下を這う様な胃がんの原因となり、より悪性度の高いがんとして知られています。いずれの胃炎にしろ、早く除菌することが胃がんのリスクを下げることにつながります。
しかし、残念ながら、慢性胃炎は除菌しても完全にはなくなりませんし、胃がん発症のリスクも0にはなりません。基本的には1年に1回の胃カメラをお勧めします。
今回の話に関係する内容からは、以下にあてはまるような方は胃カメラをお勧めします。
当院の内視鏡検査はご希望の方に対し鎮静剤を使用することで、眠っている間に受けていただけます。
経鼻内視鏡検査や、鎮静剤なしでの内視鏡検査も可能です。
専門医の資格を有する医師が診療することで、迅速な診断と、より正確な治療を提供することを心がけています。
腹痛などの症状は不安につながりますので、是非ご相談ください。
こちらをご確認ください。