消化器内科
KARADA内科クリニックの副院長の末谷敬吾です。 2025年もノロウイルスが猛威を振るっていおり、集団感染の報道を目にします。ノロウイルスは感染性腸炎の原因の1つでして、自分も牡蠣が好きなことから、心の底から恐れています。
本ページでは、そんなノロウイルスについてお話させていただきます。
ノロウイルスは非常に強い感染力 – 少量のウイルス(10~100個)でも感染します – を持ち、食中毒や感染性胃腸炎の原因となります。特に乳幼児や高齢者にとっては重症化しやすく注意が必要です。しかし、アルコール消毒では十分に除去できないために予防が難しいことも知られています。
ノロウイルスが広く知られるようになった背景には、日本国内や海外でノロウイルスによる大規模な集団食中毒が頻発し、社会的な関心が高まりました。特に学校や福祉施設、病院、ホテル、飲食店での集団感染が多く発生し、その都度ニュースで取り上げられています。また、冬季に流行しやすく、毎年のように感染者が増加するため、多くの人にとって身近な病気になりました。インフルエンザと並んで「冬に注意すべきウイルス感染症」として定着しています。
食品業界や医療機関、介護施設などでは、ノロウイルス対策が重要視されるようになり、行政機関からの指導やガイドラインが強化され、飲食店や学校での手洗い指導や消毒の徹底が求められるようになりました。
ノロウイルスに感染すると、吐き気・嘔吐、下痢(水のような便が出ることが多い)、腹痛、発熱(軽度のことが多い)、倦怠感といった症状が出現します。これらの症状は通常1~2日で改善しますが、脱水症状には注意が必要です。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、主に以下の経路で感染します。
流水と石鹸を使い、30秒以上しっかり手を洗いましょう。特にトイレ後や調理前後は入念に。
ノロウイルスは85℃以上で1分以上加熱することで無害化できます。二枚貝はしっかり加熱しましょう。
嘔吐物や下痢の処理時は、使い捨て手袋・マスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)でしっかり消毒しましょう。
家族や同居者が感染した場合、タオルや食器を共用しないよう注意し、こまめに換気を行いましょう。
ノロウイルスには特効薬がないため、基本的には対症療法となります。
症状が重い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
ノロウイルスは非常に感染力が強いため、発症後すぐの出勤は控えるべきです。厚生労働省のガイドラインでは、症状が治まった後も2~3日は感染力が残るとされています。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどと違い休まなくてはならないというものではありませんが、出勤の目安として、嘔吐や下痢が完全に収まってから2日間は自宅療養をお勧めします。体調が回復しても手洗いや消毒を徹底する必要があります。
特に、飲食業や医療機関、介護施設に勤務している場合などはノロウイルスの拡散を防ぐためにも、十分な回復期間をとることが求められます。
当院で行っているノロウイルスの診断には、主に以下のような検査方法があります。
上記以外の方は保険適用外となり、自己負担での検査になります。
①迅速診断キット 4400円(税込)
②PCR検査 6600円(税込)
となります。
ノロウイルスは強い感染力を持ち、適切な予防が重要です。手洗いの徹底や食品の加熱、環境の消毒を意識して、感染を防ぎましょう。万が一感染してしまった場合は、水分補給を意識しながら安静に過ごし、症状が重い場合は医療機関を受診することが大切です。
また、感染後の出勤についても注意が必要です。症状が治まった後も2~3日は感染リスクがあるため、職場の規定や医師の指示を確認し、周囲に感染を広げないよう配慮しましょう。