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B型肝炎

B型肝炎とは

B型肝炎はB型肝炎ウイルスの含まれる血液や体液が体内に入ることにより起こります。子供の感染は、感染している母親から産まれる際に起こる、母子感染が多いです(垂直感染)。それ以外にも、父親からの感染や保育園の園児内で集団感染が起きたこともあります。一方で、大人の感染は、感染したパートナーとの性交渉が原因となることが一般的です(水平感染)。潜伏期間は60日~150日といわれ、平均して90日くらいといわれています。
B型肝炎ウイルスは肝臓に感染して炎症を起こします。B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎の原因になります。急性肝炎は、成人で感染した時にしかおきません。肝炎の程度が軽くて自分では気が付かないうちに治ってしまう例もあります。しかし、激しい肝炎を起こして命にかかわることもあります(劇症肝炎)。また、慢性肝炎は急性肝炎の一部(B型肝炎ウイルスのなかのジェノタイプAというタイプの約8%)と乳幼児期のころに感染した人の10%位の人がなります。肝炎が持続すると慢性肝炎から肝硬変、さらには肝臓がんへと進展する可能性があります。
B型肝炎ウイルスは感染すると、まるで肝炎ウイルスがいなくなったように見えても、身体からB型肝炎ウイルスの遺伝子を完全に排除することは出来ません。そのため、免疫を抑える薬を使うときや抗がん剤などの治療を行う時には気をつけなくてはなりません。

B型肝炎の症状

下記症状が出ることがあります。

  • 発熱
  • 全身のだるさ
  • 食欲不振
  • 吐き気 嘔吐
  • 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)

診断に必要な検査

血液検査で、B型肝炎ウイルスの抗原、抗体、DNA量を確認することで感染の有無、状態を確認します。
また、血液検査で肝機能を確認します。
腹部エコーなどの画像検査で、肝硬変への進行の有無やがんの有無を確認します。

治療・経過観察について

急性肝炎では、対症療法を行います。基本的には無治療で自然にB型肝炎ウイルスが排除されます。ただし急性肝炎の中でも、劇症肝炎と呼ばれる非常に強い肝炎が起これば、入院での治療となります。その場合は、抗ウイルス薬として核酸アナログ製剤という飲み薬の投与や、血液を浄化するための血漿交換などの肝臓の機能を補助する特殊な治療をする場合があります。さらに、肝移植が必要な場合もあります。

慢性肝炎では、持続感染しているB型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬は、インターフェロンという注射薬と核酸アナログ製剤という飲み薬を状況によって使い分けることになります。
インターフェロン(IFN)療法は、ウイルスの感染状況で使用量、使用期間を決めていきます。奏効すれば治療期間を終了してからも、ウイルス量を抑えて、肝炎は鎮静化する可能性があります。しかしIFNの効果が不十分で再燃する症例も多く、奏効率は30%程度です。また、間質性肺炎やうつ病などの数多くの副作用があるという問題もあります。
核酸アナログ製剤はB型肝炎ウイルスの増殖を抑えるお薬です。内服開始後、ウイルス量は低下し、肝炎は起きなくなってきます。しかし、IFNと異なり、薬を中止すると肝炎は再燃します。拡散アナログ製剤は副作用は多くありませんが、問題点は大きく2つあります。1つ目は一旦内服を開始してから患者さん自身の判断で核酸アナログ製剤を自己中止すると、肝炎の急性増悪を起こし、 最悪の場合命に係わることがあります。絶対に核酸アナログ製剤を自己中断しないでください。2つ目は、薬剤耐性がでることがあります。幸いにも最新の核酸アナログ製剤は、薬剤耐性株の出現頻度が非常に低いことがわかっています。

医療費助成制度により、治療費用の自己負担額は収入によって1万又は2万円ですみます。

予防

予防にはワクチン接種が可能です。
母子感染を予防するために、産後なるべく早くワクチンの接種を行います。
また、水平感染を予防するために、2016年から0歳全員にワクチン接種が行われています。医療従事者などの感染リスクの高い方には、ワクチン接種が推奨されています。