KARADA内科クリニック | 五反田(品川区)・渋谷

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HPV(子宮頸がん)ワクチン

子宮頸がんワクチンの情報まとめ

感染症専門医が
HPV(子宮頸がん)ワクチンの解説をします

自治体による無料接種に関して

HPVワクチンは定期接種のワクチンです。対象年齢の方は公費(無料)で接種することができます。

【HPVワクチン定期接種の対象者】

HPVワクチンの定期接種対象者は小学校6年生から高校1年生相当の女の子です(標準的な接種時期は中学1年生です)。対象者は無料(公費助成)でHPVワクチンを接種することができます。
詳しくはお近くの自治体にお問い合わせください。

なお、定期接種に関してはこちらに詳しく解説をしています。合わせてご確認ください。

2022年4月からHPV定期接種は何が変わるのか?

当院での接種料金に関して

ワクチンについて

HPVワクチンは2価、4価、9価ワクチンの3種類が存在します。それぞれ「いくつのウイルスの型に対応できるワクチンか」を数字があらわしています。つまり4価ワクチンは4つのウイルスの型に、9価ワクチンは9つのウイルスの型を予防することができるワクチン、という意味です。

4価ワクチンは子宮頚がんリスクを63%低下させるというデータがスウェーデンから報告されています。これが9価ワクチンになると90%程度低下させることができる、というデータもでてきています。子宮頚がん検診とHPVワクチン接種がすすんでいるオーストラリアでは、2028年には子宮頚がんは10万人あたりに4人以下とかなり珍しいがんになる、と予測されています。

接種推奨年齢

HPVは性行為で感染しますので、「性行為を開始する前に接種」することが推奨されています。日本では小学校6年生~高校1年生までの女子が定期予防接種の対象となっていますが、高校2年生以上では接種の適応がないわけではありません。

高校2年生以上では、「なるべく早めに」接種をすることをお勧めいたします。すでに性行為をしている人でも、ワクチンで予防できるすべての型に感染している可能性は非常に低いといえます。ワクチン接種により、ワクチンでカバーしている型の新たな感染を防ぐことができます。

性行為の経験がすでにあり、何らかのHPV型に感染しているとしても、今後ほかの新たなHPVの型の感染を防ぐことができるため、大人、例えば30代・40代であっても、その方の性的活動性によって接種を考慮すべきです。なお日本では46歳以上の方の接種は推奨されていません。

男性の接種について

HPVワクチンは「子宮頚がんワクチン」と言われることもあるため、男性にはあまり関係ないと思われることもありますが、男性も接種可能であり、男性にとっても非常に重要なワクチンです。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどでは、女性だけでなく男性へのHPVワクチン接種を国が推奨しており、オーストラリアでは88%、アメリカでは64%の男性がHPVワクチンを接種済と報告されています。
日本では4価ワクチンが肛門がん予防に接種適応が通っているため、男性の希望者に接種することが可能です。自分自身のがん・性感染症を予防するだけでなく、大事なパートナーを守るという意味でも接種をお勧めいたします。また、アメリカにおいて中咽頭がんはHPVが原因となるがんのうち、男性の中咽頭がん(年間約12,638人)は女性の子宮頸がん(年間約11,771人)よりも多いという報告があります。

KARADA内科クリニック取り扱いワクチン

KARADA内科クリニックでは4価と9価のワクチンを取り扱っています。それぞれ下記の通り、予防できる型がきまっています。

  • 4価ワクチン:HPV6,11,16,18
  • 9価ワクチン:HPV6,11,16,18,31,33,45,52,58

また、9価ワクチンについては国産ワクチンと輸入ワクチンの2種類があります。日本では9価ワクチンの国産品の販売が遅れていたため、しばらくの期間は各医療機関が輸入をして海外製ワクチン(輸入ワクチン)を希望者に接種していました。

2021年2月にやっと国産9価ワクチンが発売になりましたが、下記に記載した通り男性への接種は認められていないため、当院では引き続き9価ワクチンを輸入し、男性の希望者に接種しています。国産も輸入も中身については同様のものですが、国産9価ワクチン(シルガード9®)は男性への接種が国として認められていないため接種不可です。今後男性への接種適応の拡大が望まれています。

男性の9価ワクチン接種についてはこちらをご確認ください。

国産ワクチンと輸入ワクチンの違い

輸入ワクチンとは、日本で未承認の製剤です。KARADA内科クリニックでは、こうしたワクチンを医師の個人輸入により取得し、ご希望の方に接種しています。それらのワクチンは、海外では多くの国で承認され、一般的に使用されているワクチンです。これらのワクチンの安全性は、基本的に国内承認ワクチンと同様で、軽い副反応(接種部位の痛みや腫れ、軽度の発熱など)が時々起きることはありますが、重篤な副反応(ショックや痙攣など)は非常に稀です。国産ワクチンとは異なり、一般的に健康被害救済制度は適応されません。

①国産HPV4価ワクチン(ガーダシル®)

価格:17,600円(1回)×3回

  • 女性:小学校6年生~高校1年生相当が無料で接種可能(定期予防接種)、この年齢以外は自費で接種可能(45歳まで)
  • 男性:自費で接種可能

②国産HPV9価ワクチン(シルガード9®)

価格:30,800円(1回)×3回

  • 女性:9歳以上は自費で接種可能
  • 男性:こちらをご確認ください

接種フローチャートを確認する(クリック)

接種方法

上腕に筋肉注射
(新型コロナワクチンと同じ接種経路です)

接種スケジュール

3回接種です。
2回目は初回接種から2か月後、3回目は初回接種から6か月後です。

※9価ワクチンは、11~14歳では2回接種でもOK
※何らかの理由で上記スケジュールでうてない方は、2回目を1回目から最低1か月以上、3回目は2回目から最低3カ月以上あけて接種をするようにしてください。

有効期間

4価ワクチンは2006年に、9価ワクチンは2014年に世界的には接種が開始された比較的新しいワクチンです。そのため、まだ確定的に「何年間有効か」ということは言いにくい状況です。
しかし、4価ワクチンは少なくとも6年間は効果が持続することがわかっています。6年過ぎると効果がなくなる、というわけではなく、「少なくともこれだけの期間は効果が持続する」ことを確認したデータです。
ワクチン接種2年後までは抗体の量は徐々に低下していきます。しかし、2年以降は一定の数値を保ち、HPVに自然に感染した時よりも高い抗体の量を維持できることがわかっています。また別の報告では、ワクチン接種をすることによって、自然にHPVに感染した抗体価の数値を30年間上回ることができると予測されています。

現状では、3回接種をするだけで追加接種は不要と考えられていますが、今後「何年後に追加で1回接種しましょう」といった推奨がでてくる可能性もあります。

副反応

1%未満:腹痛、下痢など
頻度不明:倦怠感、疲労、失神、嘔吐、めまい等

※日本において、ワクチン接種後の副反応発生率は接種1万人あたり約9人と報告されています。その中で、医師もしくは企業が重い症状と判断したのは接種1万人あたり約5人です。そのいずれも、回復したことも報告されています。

他のワクチンとの接種間隔

・新型コロナワクチンは「ほかのワクチンと2週間間隔をあけること」が日本では決められており、HPVワクチンも2週間あける必要があります
・それ以外のワクチンは、接種間隔をあける必要はなく、同日に他のワクチンを接種することも可能です

病気について

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは

ヒトにのみ感染するウイルスです。300種類以上の型があることがわかっており、「どの型に感染するか」、「どこの部位に感染するか」で「どのような病気を引き起こすか」が変わってきます。
「ハイリスクグループ」と言われる型には、HPV16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 66, 68 型があり、「がんの原因となる」ことが知られています。女性では子宮頚がん・外陰がん、男性では陰茎がん、どちらにも起こり得るのが肛門がんと中咽頭がんです。これらをHPV関連がんと呼びます。HPV関連がんは、がん全体の約4.5%を占めるといわれており、これらのがんをワクチンで防ぐことができます。なお、子宮頚がんは日本で年間約1万人が発症、約2,900人が命を落としています。
「ローリスクグループ」と言われる方には、HPV6, 11, 42, 43, 44 型があり、良性のイボ(尖圭コンジローマなど)の原因となります。

感染経路

HPVに感染した粘膜や皮膚・病変が、感染していない部位に接触することにより感染します。性行為での感染がメインであり、性行為の経験がある女性のうち約50%~80%は、生涯で一度はHPVの感染機会があると推計されています。日常生活でお風呂やプールなどの水を介した感染はほぼありません。

症状

インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスとはことなり、急性期症状と言われる熱などの症状が感染後すぐに出現することはなく、約10人に1人が「慢性感染」、つまり細胞にずっと潜み続けがんを引き起こしたりします。つまり感染に気付きにくく、気づいたころにはがんになってたり、イボができてしまったりする、厄介なウイルスと言えます。また、感染したら何かしらの症状が100%出現するわけではなく、多くの人は一時的な感染病変をつくったあとに免疫を獲得し、自然に治癒します。

診断・検査

尖圭コンジローマと言われる良性のイボは、視診、つまり見た目だけで診断することが可能です。確定診断としてはイボをメスなどで切り、病理検査をして診断しますが、そこまで行うことはあまりありません。
子宮頚がんの診断・検診には視診・細胞診・内診を行います。こちらは婦人科で行います。

治療

尖圭コンジローマは塗り薬か液体窒素、外科的切除での治療となります。(五反田院では塗り薬か液体窒素、渋谷院では塗り薬の治療が可能です)

予防

性行為がメインの感染経路なので、「性行為をしない」ことが最大の予防になります。
またコンドームの使用も予防にはなりますが、コンドームがかぶっていない部位に病変があったときや、病変が触れてしまったときは、その部位から感染したり、うつしてしまうことがあります。そのためあらかじめのワクチンでの予防が重要となる疾患です。

参考文献

厚生労働省
日本産婦人科学会
日本小児科学会
みんパピ!

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