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狂犬病

狂犬病は狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症で、狂犬病ウイルスを保有している哺乳類にかまれることで感染を起こします。

発展途上国では90%以上がイヌから、先進国ではキツネやアライグマ、コウモリなどからの感染が多いとされています。
決してイヌだけではなく、他の哺乳類からも感染する可能性があるということが重要です。
WHOによるといまだに年間59,000人が亡くなっており、特にインドでは約20,000人が亡くなっています。
世界でもほんの一部の国々(日本、アイスランド、アイルランド、オーストラリアなど)を除いていまだ流行している感染症です。

日本では1950年に狂犬病予防法が施行されてから、国内のイヌにおける狂犬病の発生はなくなったため、それ以降は海外でかまれてしまった人が帰国してから発症するという持ち込み例のみです。

恐ろしいことに、狂犬病は発症してしまうとほぼ100%死んでしまう感染症で、「最も致死率の高い病気」としてギネス記録にも登録されています。かまれてしまってから発症するまでの時間、いわゆる潜伏期間は、

  • 30日以内:25%
  • 30-90日:50%
  • 90-1年:20%
  • 1年以上:5%

とされ、最長で8年というものも報告されています。

【症状】

潜伏期間を経て、創部の異常感覚、かゆみ、痛み、発熱、吐気・嘔吐などが出現します。
その後嚥下障害、興奮、不安、唾液増加などを起こし、呼吸不全、循環不全を起こし死に至ります。



【診断・検査】

一般の病院やクリニックでは確定診断をつけることは不可能です。

国立感染症研究所などに唾液などのRT-PCR法を依頼します。

【治療】

根本的な治療法はなく、発症したらほぼ100%死に至ります。

【予防】

  • 曝露前予防:
    狂犬病流行地域に出発する前にワクチンを3回接種します。出来たら出発1か月前から3回接種します(1回目接種してから1週間後に2回目の接種、それから2もしくは3週間後に3回目の接種)。

    事前にワクチン接種をするメリットとしては、
    ①万が一かまれてしまったときに、病院に受診するまでの時間的猶予ができる
    ②かまれた後の処置で病院に行く回数、ワクチンを追加接種する回数を減らすことができる
    があげられます。
    ①については、渡航先が都市部なら、すぐに大きな病院で然るべき処置を受けることができますが、地方や田舎で病院に行くまでに時間がかかってしまう場合や、夜間・休日などにかまれてしまい病院へかかるのに時間がかかってしまう状況では、事前のワクチン接種が非常に重要になってきます。
    ②については、事前に3回のワクチン接種を行っていれば、かまれた後に2回追加でワクチン接種をするだけでいいのですが、事前にうっていないと5回接種する必要があります。

  • 曝露後予防:
    もし流行地域でイヌにかまれてしまった場合には、受傷部位を石鹸と流水ですぐに洗浄後し、すぐに病院へ行ってください。事前に3回のワクチン接種を行っていれば、かまれた後に2回追加でワクチン接種、事前にうっていないと5回接種する必要があります。傷の深さによっては、抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン(創傷部位全てに)も同時に投与することがあります。

渡航前のワクチンは保険適応外ですが、かまれてしまったあとの曝露後接種は国産ワクチンであれば保険適応にもなります。また、海外旅行保険に加入されていた方は、帰国後の接種でも保険はおりますので、ご相談ください。

【当院の狂犬病ワクチン】

国産ワクチン(ラビピュール®):16,000円(税別)

輸入ワクチン(Verorab®、ChiroRab®):13,000円(税別)