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アレルギー性結膜炎

記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田院

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック 五反田院

院長 佐藤 昭裕

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。

-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演していた他、世界一受けたい授業・ザ!世界仰天ニュースなど出演多数
●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格
  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

アレルギー性結膜炎は、花粉、動物、ほこり、ダニ、カビなど身近な物質に対するアレルギー反応であることが多いです。そのアレルギー反応により様々な症状がでてしまいます。眼の表面(結膜)が充血した状態となり、表面周囲の組織がむくんできます。

【症状】

アレルギー性結膜炎は、目のかゆみと充血をメインに、悪化すると眼脂(目やに)もでてきます。かゆみが強いのに白目の充血があまりない場合は、まぶたの裏が荒れていることが多いです。 症状が軽いときには目やにはあまり気にならないことが多く、重症化するにつれ黄色~白色の目やにが目立ってきます。 なお、アレルギー性結膜炎は他人にはうつりません。 アレルギー性結膜炎の方は、アレルギー性鼻炎を合併していることが多く、鼻・のどのかゆみと咳を伴うことがあります。また、咳、頭痛、不眠などを伴うこともあります。

【診断・検査】

どの物質に対してアレルギーをもっているかを調べられる、View39という血液検査があります。1回の採血で、下記39種類のアレルゲンを調べることが可能です。問診から原因アレルゲンが推定できない方や、アトピー性皮膚炎の方、PFS(pollenassociated food allergy syndrome; 花粉関連食物アレルギー症候群)合併が疑われるアレルギー性鼻炎の方に有用な検査です。

〇吸入系 ・その他アレルゲン(19項目) ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ガ、ゴキブリ、スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)、シラカンバ(属)、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア(属)、ラテックス

〇食物系アレルゲン(20項目) 卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ピーナッツ、大豆、米、ゴマ、ソバ、エビ、カニ、キウイ、リンゴ、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉 予約は不要で、価格は保険適応で約5-6000円程度となります。結果は採血より約1週間で判明します。原因アレルゲンがわかることで、そのアレルゲンを避けることが可能になるため、非常に有用な検査です。

【治療】

・根本的な治療はその物質との接触を避けること、例えば部屋の掃除を小まめにしたり、イヌやネコと触れ合わないようにしたりすることです。

・目薬の種類としては、

  1. ①人口涙液点眼
  2. ②抗アレルギー点眼薬
  3. ③ステロイド点眼薬
    があげられます。

①人口涙液点眼

物理的に目の表面についたアレルゲンを流す目的で使用します。防腐剤の入っていない人工涙液を選びましょう。アレルゲンが反応を引き起こす前に洗いながしてしまうことが重要な予防策です。また、水道水や市販の目洗い液は、かえって刺激になって炎症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

②抗アレルギー点眼薬

アレルギー反応は、アレルゲンがIgE抗体を介してマスト細胞という細胞を放出させること始まります。 抗アレルギー薬はこのアレルギー反応の最初の引き金となっているマスト細胞を放出させないようにします。そのため、たとえば花粉症であれば、花粉が飛散する前から点眼を始めることが重要です。

③ステロイド点眼薬

アレルギー反応を繰り返し起こすと、目の炎症は慢性化し、好酸球という細胞が眼の表面の組織を傷つけるようになります。好酸球を抑えるために、ステロイド剤が最も有効な薬です。

・スギとダニのアレルギーに関しては舌下免疫療法があります。スギとダニに関しては、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善を行います。毎日1日1回アレルゲン(錠剤)を舌の下におきます。それを約3年間続けます。初回投与時はアナフィラキシーショックなどを起こすこともありますので、院内で服用していただき、30分間は院内で体調に変化がないか確認をさせていただきます。

【予防】

何と言ってもアレルゲンと接触しないことが大事です。スギやブタクサなどの花粉症がある場合には、不要な外出を避けたり、外出をする際にはゴーグルやマスクを装着したりすることが必要となります。また、ハウスダストやダニがアレルゲンの時は、部屋をこまめに掃除し、換気をする必要があります。 また、花粉症については、花粉の飛び始める2-4週間前から抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬、抗アレルギー点眼薬を使用することで、症状の発現を弱く抑えることができます。1月下旬になったら内服・点眼を開始するのが非常に有効ですので、早めの対策が必要です。

 

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