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公開:2025.06.24 医療情報

国産腸チフスワクチンの接種を開始|Typbar(輸入)との違い・効果を比較

こんにちは。KARADA内科クリニックの田中です。 

これまで当院では、腸チフスの予防として海外から輸入ワクチンTypbar®を取り扱ってまいりました。2025年6月30日より、日本国内で製造されたワクチン(サノフィ社製)の取り扱いも新たに開始いたします。 

どちらも腸チフスに対して有効なワクチンですが、成分や免疫の仕組み、接種対象年齢や持続期間などに違いがあります。患者さんの年齢、渡航先、スケジュールに応じて最適な選択肢をご案内できるよう体制を整えております。 

腸チフスとは 

そもそも腸チフスってどんな病気なのかについては、こちらのページで詳細を解説しておりますが、端的にいうと衛生環境の良くない国での感染、発熱や悪寒、腹痛、倦怠感などかなり調子を崩すことになる感染症です。流行国渡航の方は、ぜひワクチンで予防していただきたいですね。 

Typbar(TCV)と国産ViCPSワクチンの比較 

当院では、2種類のワクチンを用意することになりました。違いを下記の表にまとめましたので、是非ご確認ください。ワクチンの値段に違いもありますが、従来当院で取り扱ってきた輸入ワクチンの方が予防効果が持続します。 

 

輸入腸チフスワクチンTypbar®TCV型・輸入)新登場 国産腸チフスワクチンタイフィム(ViCPS型・国産)
ワクチン型​結合型(T細胞依存性)​多糖体型(T細胞非依存性)​
特徴​長く効きやすい(体が覚える)​一時的に効く(数年で再接種)​
対象年齢​生後6か月以上​2歳以上​
接種回数​1回​1回​
接種方法​筋肉注射を推奨​(国産は皮下注射も適応あり)​
免疫持続​5年以上(比較的長期)​3年(短期)​
再接種​5年ごとに推奨​3年ごとに推奨​
製造国​海外​日本(サノフィ)​
ワクチン代​(税込)12,100円​11,000円​

どんな人が接種を考えるべき? 

・東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米への渡航者 
・現地で食事や水に触れる機会が多い方 
・医療支援やボランティア活動で長期滞在される方 

A型肝炎ワクチンとのセット接種もおすすめ 

腸チフスと同じく、A型肝炎も食事や水から感染します。同様の感染ルートであることを考えられるため、是非予防接種は同時に行うことをお勧めします。 

ご予約・ご相談はお気軽に 

KARADA内科クリニックでは、各ワクチンの違いや適応に応じて丁寧にご案内いたします。ご不明点は遠慮なく感染症専門医へご相談ください。 


こんな方におすすめ 

国産ワクチン(ViCPS)をおすすめしたい方

  • 日本製に安心感を持つ方
  • コストを抑えたい方 
  • 比較的短期滞在(数年以内) 

輸入ワクチン(Typbar®/TCV)をおすすめしたい方 

  • 生後6か月以上〜2歳
  • 海外長期滞在者、3年以上の現地駐在・極力接種回数を減らしたいなど、より長期的な免疫を希望する方 

最後にひとこと 

私の病院勤務時代に、腸チフスを患った患者さんの診療に携わったことがあります。強い倦怠感や発熱に辛い思いをされていましたが、退院間際に「次の渡航では必ずワクチンを」と話されていたのが印象的でした。 

腸チフスはしっかり予防できる感染症です。ワクチンという確かな選択肢をどうぞご活用ください。 

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KARADA内科クリニック渋谷 院長 【資格】医学博士、日本感染症学会専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医、臨床研修指導医(厚生労働省) 東京だけではなく、北海道のオーホーツク海を目の前にしながらも総合内科医としてその地域に根ざした診療に従事してきた。また、内科の専門として感染症専門医としてもこれまで一般的な感染症診療のみならず、ワクチン接種や性感染症やHIV感染症などの診療にも取り組んできた。 また、研究者として、医療現場の日常に潜む倫理的な課題にも向き合いながら学会や論文で発信を続けている。

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