コロナに感染する、もしくはワクチンを接種すると、「抗体」というコロナと戦う武器のようなものが体内でつくられます。この武器が体内にどれくらいあるのか、を調べる検査が「抗体検査」です。
多くの人がワクチン接種済となり、「自分がどれくらい抗体を持っているのか調べたい」という方が増えてきました。つまり、その量を調べて「今後コロナに自分がどれくらい感染しなそうか」を知りたいということです。
現状、いくつ以上その数値があれば感染を防ぐことができるか、など詳細なことはわかっていません。もちろん高いに越したことはありませんが、コロナから身を守る免疫はこの抗体だけではなく、ほかの武器もあります(細胞性免疫など)。
ワクチン接種によってこの他の武器も手に入れることができ、感染から身を守ってくれるのです。「抗体が低かったから、感染しやすい」というわけでもないということです。
KARADA内科クリニック五反田院・渋谷院では2種類の抗体検査を用意しています。
ここでは定量検査について解説したいと思います。
現在抗体検査はいくつかの検査会社が検査試薬を販売しており、検査を受けるクリニックにより、どの会社の検査なのか異なります。ネットニュースやSNSで抗体検査を受けた人が、「抗体価が1000だった」、「20しかなかった」など見かけると思いますが、それは受けた検査会社によって基準が異なるので、数値だけを単純に比べてはいけません。
また、抗体にも種類があり、過去の感染により上昇するのがN抗原に対する抗体、ワクチンによって上昇する抗体はS抗原に対する抗体、という風になっています。そのクリニックで計測している抗体はどちらなのか、も知っておく必要がありますね。
加えて、抗体にはIgMとIgGという種類があります。一般的にIgMは感染初期(1~2週間後)に上昇し、IgGは感染もしくはワクチン接種後2~4週間程度で上昇します。トータル抗体といって、IgG・IgMどちらもとらえる検査もあります。
日本で検査できる抗体検査のうち、代表的な検査会社は、シーメンス、ロシュ、アボットがあります。
当院で採用している検査は、「シーメンス社の”SARS-Cov2 IgG抗体” (S抗原、CLIA法)」です。つまり、「コロナワクチン接種後にどれくらい抗体があるか」の検査となります。
各会社で数値の基準が異なるので、単純に比較はできない、という話しをしましたがそれでは困るので、WHOが国際標準単位としてBAU/mL(binding antibody unit)という単位を設けています。
各社の抗体価に係数をかけることにより、数値を比べられるようにしよう、ということです。
各社のおよその係数を下記に示します。
つまり、当院での結果が10だった方は、10×21.8=218BAU/mLということになります。
抗体検査についてはまだどのように扱ったらよいか、指針が示されていない状況ですが、検査ご希望の方は当院までご相談ください。ワクチン接種後、1週間後~1か月後を目安に受けられると良いと思います。
参考文献:
WHO”In vitro diagnostics detecting antibodies to SARS-CoV2 virus”
Quantitative SARS-CoV-2 Spike Antibody Response in
COVID-19 Patients Using Three Fully Automated
Immunoassays and a Surrogate Virus Neutralization Test