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公開:2021.09.13 新型コロナウイルス関連情報

新型コロナウイルスに感染した人のワクチン接種について

KARADA内科クリニック渋谷院長の田中です。

8月、東京の感染者数も急増していたこともあり、外来で次のような質問をよくお受けしておりました。

「来週ワクチンの予約があるのですが、もし検査陽性だったらどうしましょうか?」

「療養期間を終えて調子良くなったのですが、私ってワクチンどうすればよいでしょうか?」

「濃厚接触者と保健所から連絡きましたが、ワクチンは見送った方が良いですか?」

今日現在、厚生労働省からは

一度、新型コロナウィルスに感染したとしても、ワクチンを打つことができます

という見解が公開されております。

ただ、この見解を共有しても、先ほどの質問には十分な答えになっていないと思います。

多くの方が錯綜する情報に懸念を抱いていると推察し、少しでも皆さんの役立てられるように、現状の「新型コロナに既感染の方へのワクチン接種」に関する見解をまとめておきたいと思います。

また、当院での実施している抗体検査の活用法を最後にご紹介したいと思います。

以下、患者さんからのご質問と私ども答えの一例です。

Q.新型コロナウィルス感染後もワクチン接種を推奨しているのは、日本だけですか?


そんなことはありません。各国で方針は様々ですが、米国にあるCDCという組織も過去に感染があっても接種を推奨しております。

*Interim Clinical Considerations for Use of COVID-19 Vaccines Currently Approved or Authorized in the United States

厚労省も次の表の通り、各国の過去の新型コロナウィルス感染者へのワクチン接種への考えをまとめて、共有しております。ただし、これはあくまでも接種の対象から除外しない、つまり、打ってはいけませんとは言っていないというものであり、具体的にどのくらい感染から間隔をあけて接種すべきなど根拠を持って回答する事が難しいです。

*第21回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会より抜粋「既感染者への接種について」

Q.私は以前新型コロナウィルスに感染しておりますが、ワクチン接種で効果はあるのですか?感染したということは抗体を保持しており、接種をせずにすむのではないか?

一度感染するよりも、ワクチン接種した方が十分抗体(感染を予防できる血液の成分)がつくと報告があります。(N Engl J Med. 2021 Apr 8;384(14):1372-1374. )先に示した通り、基本的には2回の接種を推奨します。

Q.一度感染しているので、ワクチンは1回でも十分ですか?

現状では、2回の接種が推奨されております。確かに一度感染すると十分抗体を獲得できると考える方もいらっしゃるかと思いますが、現時点での推奨はあくまでも2回接種です。1回の接種で十分ということを保証する根拠はまだ乏しいです。

Q.私、軽症だったのですが、本当に抗体ついていますか?

重症度によって抗体の獲得量が異なるという報告があります。軽症者は重症者に比べて抗体の量が低いという報告があります。(Sci Rep 11(1):2608, 2021. )やはり先に示した通り、たとえ罹患したとしても接種は推奨されるものかと思います。

Q.再感染っていつ頃までしないのですか?

初めの感染から、少なくとも90日程度は感染の報告が出てないようです。(COVID-19 reinfection tracker

デンマークの報告ですが、初回の感染が再感染を防ぐ効果を検証する研究があります。ここでは、感染したことがない人よりも感染するリスクが5分の1になる程度と報告されております。(Lancet. 2021 Mar 27;397(10280):1204-1212.)このように少なくとも新型コロナに罹患したばかりの方々は、感染していない人よりかはワクチンを近々で接種することより促進しなくても良さそうであると言えそうです。

Q.新型コロナに感染した、濃厚接触者となった、このような方が来週ワクチンの予約をしている。どうすれば良いか?

1回目の接種、2回目の接種問わず、まさに新型コロナウィルスに感染が発覚したばかりの人、あるいは、濃厚接触者となっている人は、予約を延期しましょう。隔離が必要となる時期には接種ができません。たとえ無症状であっても接種することはできません。体調の面だけではなく、公共の場所に行けないという観点からも外出ができず、人が集う会場まで行くことを控えるべきでしょう。接種側の気持ちからすると、キャンセルや延期をできるだけ早く連絡を入れていただきたいところです。よろしくお願いします。

Q.では、その後いつ接種すれば良いのか?

とてもよくいただく質問ですが、残念ながらこれに明確に答えられる科学的根拠は特にありません。

日本感染症学会から出されたCOVID−19ワクチンに関する提言では、“回復後の早期接種が望まれます”と記載されております。副反応が高頻度に出る、あるいは、ある程度の期間再感染を懸念しなくても良さそうという報告から考えるに、あくまでも私見ですが、感染後体調不良続いている方、後遺症で悩まれている方が接種を急ぐ必要はないのかと思います。あくまでも回復後、接種の予約をされると良いのかと考えます。

Q.副反応がより出るのではないか?

確かにそのような報告があります。(Lancet Infect Dis. 2021 Jul;21(7):939-949.)頻度として高頻度に出る傾向があるようです。その程度、つまり、副反応の強さはこの論文では言及されておりません。

Q.一度も感染していない人よりも効果が強いのか?

一度も感染していない人に比べて、過去に感染した方は約10倍高い抗体価が獲得されているという報告があります(N Engl J Med 384(14):1372-1374, 2021. doi: )。これはファイザー社のワクチンによる報告です。

上記をまとめると

  • 新型コロナウィルス感染済みの患者さんのワクチン接種は可能かどうか
    除外はされない。接種可能。(一部除く)
  • 時期
    根拠を持って時期の推奨ができない。あくまでも回復後接種を。
  • 副反応
    未感染の方よりも、高頻度で副反応は出やすい
  • 注意点
    隔離期間中の接種は避ける。公共の場所には行くべきではない

 

最後に、最近問い合わせが増えている抗体検査について説明したいと思います。

KARADA内科クリニックが提案できる抗体検査は2種類あります。

定性検査 定量検査
意義 抗体の有無を把握 抗体の量を把握
直近1カ月以内に感染があったかどうかわかる 繰り返し検査をして、自身の抗体の量の変化を確認できる
評価項目 IgMとIgG IgGのみ
時間 15分程度 3日間
検査方法 採血(少量)で確認。
値段 5,500円(税込) 7,700円(税込)
検査結果報告 その日のうちに診察室で報告 再診あるいはアプリで報告
解釈上の注意

抗体が陽性、抗体量が〇〇以上だと、再感染しない or ワクチンの追加接種の必要はない、という根拠はまだ十分なデータがないため提示できません。解釈には注意が必要な自費診療の検査となります。

定性検査(抗体の有無を確認)定量検査(抗体の量を測定する)という検査の用意があります。これらの検査は、あくまでも自費の検査です。保険診療では実施しておりません。加えて、どの程度抗体があれば新型コロナウィルスへの感染を予防できる、重症化できるというような根拠を提示することにつながる十分なデータはまだ世の中にありません。

そのため、抗体量の結果を見て、「で?私はワクチン打った方が良いのか?」「コロナに感染しないのか?」というような質問への回答になるわけではありません。

ただし、「ワクチンを接種する前に、実はあの時の風邪症状は新型コロナウィルスによるものだったのか?」「過去に感染したが非常に軽症だったので、本当に抗体があるのかどうか?」「3ヶ月前に抗体の量を測定したが、今どのくらい減ってしまったのか?」というような疑問には少し役立てられるのではないかと思っております。

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KARADA内科クリニック渋谷 院長 【資格】医学博士、日本感染症学会専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医、臨床研修指導医(厚生労働省) 東京だけではなく、北海道のオーホーツク海を目の前にしながらも総合内科医としてその地域に根ざした診療に従事してきた。また、内科の専門として感染症専門医としてもこれまで一般的な感染症診療のみならず、ワクチン接種や性感染症やHIV感染症などの診療にも取り組んできた。 また、研究者として、医療現場の日常に潜む倫理的な課題にも向き合いながら学会や論文で発信を続けている。

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