KARADA内科クリニック | 五反田(品川区)・渋谷

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破傷風

破傷風とは

破傷風菌により発生し、かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新生児の発生もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中心に患者が発生しています。
破傷風菌は世界中の土壌の至る所に存在し、渡航先のみならず実は日本でも毎年患者が発生しています。破傷風は傷口から感染するので、旅行などで怪我をする可能性の高い人に対して渡航前に予防接種によって対策をお勧めします。旅行中に登山やキャンプ、トレッキングなどのアウトドアアクティビティーへの参加など怪我のリスクがある場合には積極的なワクチン接種の検討をします。特に、途上国では、けがをしやすく、命に関わることもあるので、接種を検討してください。
破傷風ワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日せき)に含まれていますので、定期予防接種で破傷風・ジフテリアワクチンを12歳の時に受けていれば、20代前半位までは免疫がありますので、接種は不要です。その後は、1回の追加接種で約10年間有効な免疫がつきます。現在、小児の定期接種では、ジフテリア・百日咳・ポリオとの4種混合ワクチン(DPT-IPV)、ジフテリア・百日咳との3種混合ワクチン(DPT)、ジフテリアとの2種混合ワクチン(DT)が用いられます。逆に1967年より前に生まれた方は、定期接種に破傷風が含まれていませんので、3回接種が必要となります。

破傷風の症状

主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用します。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の 障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。

破傷風の診断・検査

破傷風の診断は、典型的な臨床経過(開口障害から始まる症状など)から診断されることが多いです。
また、ケガで汚染された部位を中心として、破傷風菌が存在しないかどうかを確認するための培養検査を行うこともあります。菌を検出できるかどうかに加えて、検出された場合に、その菌が毒素をつくるかどうかを検討します。毒素の証明が行われた場合は、診断がより確実になります。
しかし、実際の臨床現場では、患者さんにはすでに抗菌薬(抗生物質)が投与されていることも多く、その影響から破傷風菌が死滅していることもあります。この場合には、菌の存在を証明することは容易ではありません。

破傷風の治療

破傷風の治療では、毒素に対する抗体(抗破傷風ヒト免疫グロブリン)を投与します。しかし、病状が進行した状態では治療効果は限定的であり、できる限り速やかに投与することが必要です。
そのほか、発症時にはさまざまな合併症が出現するため、症状を和らげる対症療法を行うことも求められます。刺激で発作を起こさないように、暗く静かな部屋で安静にさせます。呼吸を助けるために、人工呼吸器を使うこともあります。けいれんが起きた場合、けいれん止めの薬を使います。

破傷風の予防

予防に関しては大きく2点あります。

  1. 予防接種
    日本では、破傷風に対する予防接種は、“定期接種(国や自治体が乳幼児に接種を強くすすめている予防接種)”の対象となっています。破傷風以外にもジフテリア、百日咳、ポリオと合わせた4種混合ワクチン(DPT-IPV)が、生後3か月以降に計4回接種されます。
    接種してから10年経つと次第に効果が低下してくるため、追加接種を検討します。破傷風の予防接種を最後に受けてから5年以上(小さくて汚染されていない傷なら10年以上)経った人の場合、破傷風単独ワクチン(破傷風トキソイド)を注射することがあります。破傷風の予防接種を3回未満しか受けていない方の場合、さらに抗破傷風ヒト免疫グロブリンを投与することもあります。
  2. 日常的な予防方法
    日常的な予防方法としては、破傷風菌が体内に入らないようにし、傷ができたときはすぐに流水で十分に洗います。自宅で対応できないような大きな傷や、汚い場所でけがをしたときは病院を受診することが大切です。特に破傷風菌に感染するリスクの高い傷には、やけど、泥のついた傷、唾液に汚染された傷などがあります。病院では必要に応じて傷口を広げて奥の汚れを洗い出します。

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