喘鳴とは気管支などの気道が狭くなることで生じるヒューヒュー、ゼーゼーという高い笛のような音を指します。気管支喘息、急性気管支炎、重症の肺気腫、気道内異物、心不全による肺うっ血、アナフィラキシーショックなど気道が狭くなる病気で生じます。
最も多いのは気管支喘息ですが、心不全などの他の病気で生じることがあるため、他の症状や検査などで原因を探っていく必要があります。
原因となる呼吸器疾患
- 気管支喘息
気管支の壁に様々な要因によるアレルギーによる炎症が生じ、気管支内腔が狭くなることで高い笛のような音が生じることが多くあります。
- 肺気腫(COPD)
タバコ煙を主体とする吸入物質により末梢の気管支壁の炎症や肺胞構造の破壊が起こります。末梢の気管支の炎症により気管支の壁の肥厚が目立つ場合呼気時の喘鳴を生じることがあります。
- 急性気管支炎
気道感染により末梢気管支内腔に気道分泌物が貯留することで呼気時の喘鳴が生じます。
- 急性喉頭蓋炎
喉頭蓋が細菌感染などで腫脹することで上気道が狭くなることで、吸気時に喘鳴が生じます。
- 気道異物
気管・気管支内に異物が落ち込むことで気道内腔が狭くなることで喘鳴が生じます。
- クループ症候群
ウイルス感染により声帯下の上部気管支壁浮腫が原因で気道内腔が狭くなり吸気性の喘鳴を生じます。乳幼児に多く認めます。
- うっ血性心不全
心不全に伴い肺の間質という部分に水がたまることで肺水腫を生じると喘鳴が生じることがあります。
- アナフィラキシー
アレルギー反応により気道壁に浮腫が生じ、気道内腔が狭くなることで呼吸困難や喘鳴が生じます。
- 喉頭機能異常(Vocal cord dysfunction)
息を吸ったときに本来とは逆に声帯が閉じることで喘鳴が生じます。原因として心因性、刺激物によるもの、運動により誘発されるものなどがあります。
必要な検査
- 胸部X線検査
- 呼気一酸化窒素(FeNO)測定
- 採血検査
- 胸部CT検査
- 心電図検査
- 心臓超音波検査
治療方法
薬物治療
原因に沿って抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイドなど使用して治療を行います。心不全治療やアナフィラキシーに対する治療が必要な場合があります。
吸入治療
気管支拡張薬やアドレナリンなど気道を広げる薬剤を吸入して治療を行います。
気管支鏡検査
気道異物は気管支鏡を用いて摘出する必要があることが多いです。
緊急気道確保
咽喉頭の異常で上気道が狭くなることで息ができなくなることがあり、気管切開や気管穿刺、気管挿管が必要となる場合があります。
息切れの症状があれば、
ご相談ください
喘鳴は呼吸不全を伴う場合が多くあるため、早期の診断治療が必要です。