- 医学博士
- 日本感染症学会専門医・指導医
- 日本内科学会認定医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
- 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
- 日本エイズ学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 臨床研修指導医(厚生労働省)
- 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
副鼻腔炎を紹介するにあたり、まず副鼻腔という体の部位を説明します。
意外に思われるかもしれませんが、私たちの頭・顔の内部には、上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)という4種類の空洞があります。
これを副鼻腔と呼び、そこに炎症が生じた病気を副鼻腔炎と呼びます。4種類のいずれの副鼻腔炎は起こりえます。
きっかけは、かぜのウイルスや細菌の感染のみならず、アレルギーなどによっても生じることが分かっています。
風邪(ウイルスや細菌感染)やアレルギーなどがきっかけで鼻の中で炎症が起きると、鼻の粘膜が腫れたり、粘り気のある鼻水が出てきます。
この腫れや鼻水によって、副鼻腔と鼻の間の自然口がふさがると、副鼻腔から分泌物や異物を排泄できなくなり、鼻水や膿がたまってしまいます。
こうして起こるのが副鼻腔炎です。 慢性副鼻腔炎は、「蓄膿症 ちくのうしょう」と呼ばれることもあります。
この呼び方の方が馴染みのある方も多いかもしれません。
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎は似た症状を引き起こし、具体的には以下のものがあります。
以下のように、一部の症状ではどの副鼻腔が感染しているかが示唆されていると言われております。
医師による病歴聴取や診察によって、この病気を疑い、診断していきます。
より診断の精度を高めるために、レントゲン検査あるいはCT検査をする場合があります。他施設(近隣医療機関)にて、CT撮影を患者様にお願いする場合があります。
ただ、CT検査を重視する局面は限定的であると言えると思います。なぜなら、副鼻腔炎の広がりと重症度を判定できますが、この検査が行われるのは主に、合併症の症状(眼の充血や眼球突出など)か慢性副鼻腔炎がある場合だからです。
また、CT検査なしであっても、初期の治療方法としてやるべきことは同じであるとも言えます。
薬の内服が治療のメインとなります。薬は、副鼻腔からの排出を改善するものや炎症を抑えるものになります。
症状のあるうちは、短期間でも定時内服を推奨します。
急性副鼻腔炎の治療は、副鼻腔からの排液を改善し、感染を治癒させることを主眼に行います。
蒸気を吸入したり、湿らせた熱いタオルを炎症のある副鼻腔の上にあてたり、熱い飲みものを飲んだりすることで、粘膜の腫れが緩和され分泌物の排出が促されることがあります。
フェニレフリンやオキシメタゾリンなどの鼻腔スプレーには粘膜の腫れを抑える働きがあり、期間を限って使用することがあります。
同様の作用をもつプソイドエフェドリンなどの内服薬は、それほど効果的ではありません。
重度(39℃以上の発熱や重度の痛みなどの症状が3日以上)または持続性(10日以上)の急性副鼻腔炎に対しては、アモキシシリン/クラブラン酸やドキシサイクリンなどの抗菌薬を使用します。
ただし、基本的に慢性副鼻腔炎は症状が良くなったり、悪くなったりと繰り返すことも特徴であり、毎回の抗菌薬内服はオススメできません。
副鼻腔炎の原因にもいくつか種類がありますが、中には難病に指定されているものもあります。
好酸球性副鼻腔炎という病気です。
両側の多発性鼻茸と粘調な鼻汁により、高度の鼻閉と嗅覚障害を示す、成人発症の難治性副鼻腔炎です。
抗菌薬は無効であり、ステロイドの内服という治療に反応して、状態が改善します。鼻腔内に鼻茸が充満しているため、鼻副鼻腔手術で鼻茸の摘出を行うが、すぐに再発するのも特徴です。
このような病気も存在するため、私どもも慎重に経過を見ながら、必要な場合は、より高度・専門的な医療機関をご紹介させていただきます。
監修:KARADA内科クリニック医師 田中雅之