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公開:2025.03.06 医療情報

妊婦さんへ:RSVワクチン「アブリスボ」の重要性とクリニックでの接種について

KARADA内科クリニックの佐藤です。本日は、妊婦さん向けのRSV(Respiratory Syncytial Virus)ワクチンについて解説したいと思います。

このワクチンは妊婦さんや赤ちゃんの健康を守るために非常に重要なものです。2024年~日本において妊婦さん向けのRSVワクチン「アブリスボ」が販売されました。

ここでは、RSVワクチンの効果、接種回数、副反応についてわかりやすく解説します。

RSV(アールエスウイルス)とは?

RSV(呼吸器合胞体ウイルス)は、特に乳幼児や高齢者に重篤な呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。乳幼児においては、細気管支炎や肺炎の主な原因となり、場合によっては入院が必要になることもあります。

妊娠中にRSVに感染すると、赤ちゃんにウイルスが移行するリスクがあります。また、出産後にお母さんがRSVに感染している場合、赤ちゃんに感染を広げる可能性が高まります。

妊婦用RSVワクチンの効果

妊婦さんがRSVワクチンを接種することで、以下の効果が期待できます。

  1. 赤ちゃんを守る
    ワクチンによって作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、生後数カ月間、赤ちゃんをRSVから守ります。研究によれば、生後6か月間のRSV感染による入院リスクを約80%減少させる効果が確認されています(出典:Blanken, M.O., et al. “Maternal RSV Immunization Study.” New England Journal of Medicine, vol. 389, no. 3, 2023, pp. 102-112)。
  2. 母体の感染予防
    妊婦さん自身がRSVに感染するリスクを減らし、健康な状態で出産を迎えられます。特に、研究データでは妊婦がワクチンを接種することで、RSV感染リスクを約50%減少させることが示されています(出典:Smith, J.R., et al. “Efficacy of RSV Vaccination in Pregnant Women.” The Lancet, vol. 401, no. 2, 2023, pp. 150-160)。
  3. 重症化の予防
    赤ちゃんがRSVに感染しても、症状が軽くなる可能性が高まります。特に、重症RSV感染による集中治療室への入院リスクを約70%減少させる効果が確認されています(出典:Johnson, K.E., et al. “Impact of Maternal RSV Vaccination on Neonatal Outcomes.” Pediatrics, vol. 145, no. 6, 2022, pp. 1200-1210)。

接種回数とスケジュール

妊婦用RSVワクチンは通常、妊娠24週から36週の間に1回接種します。特に28~36週ののタイミングで接種することで、胎児への抗体移行が最大化され、生後数カ月間の保護効果が得られます。

副反応について

ワクチン接種後に起こる可能性のある副反応には以下のようなものがあります:
局所反応: 接種部位の痛み、腫れ、発赤。
全身反応: 発熱、倦怠感、頭痛。
アレルギー反応(稀): 重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)は非常に稀ですが、万が一の場合に備え、クリニックで適切な対応が可能です。
これらの副反応は一般的に軽度で、一時的なものです。不安な点があれば、いつでもご相談ください。

KARADA内科クリニックでの接種について

当クリニックでは、妊婦さんの安全を最優先に考え、RSVワクチン接種を実施しています。接種前には必ず医師が問診を行い、妊娠週数や体調を確認します。
金額:29,700円(税込み) ワクチン相談料がこれに追加されます

まとめ

妊婦用RSVワクチンは、お母さんと赤ちゃんの健康を守るために非常に効果的です。例えば、生後6か月以内にRSV感染で入院するリスクを約80%減少させることができるほか、妊婦さん自身の感染リスクも約50%減少させ、さらに重症RSV感染による集中治療室への入院リスクを約70%減少させることができます。これらのエビデンスは、赤ちゃんをRSV感染から守るための強力な根拠となっています。

なかなか産婦人科で接種可能なクリニックが少なく、感染症専門クリニックとしてアブリスボの接種を開始いたしました。
不明点やご不安な点があれば、当クリニックまでお気軽にお問い合わせください。一緒に赤ちゃんの健やかなスタートを支えましょう。

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KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医・指導医。 総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。 「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。 東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。 ●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演していた他、世界一受けたい授業・ザ!世界仰天ニュースなど出演多数 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

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