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公開:2019.10.05 医療情報

はしか(麻疹)注意情報

KARADA(カラダ)内科クリニック院長の佐藤です。

当院がある品川区の会社で、はしか(麻疹)のアウトブレイクが発生し、
ニュースになっています。

 

はしかの基本知識

 

はしかは感染力が強く、また合併症として脳炎を起こしてしまい、
後遺症も残ってしまうことがあるため警戒が必要な疾患です。

はしかの感染経路は「空気感染」と言われるものです。

現在流行しているインフルエンザは、飛沫(ひまつ)感染といって、
感染者の咳やくしゃみをあびてしまうことによって感染しますが、
はしかの場合は、「同じ空間にいるだけ」で抗体を持っていない人は感染してしまいます。

この空気感染の経路をとる病気は、はしか以外には結核と水ぼうそう(水痘)しかありません。

 

はしかの感染力はインフルエンザの5-10倍

 

基本再生産数という言葉があります。

これは、「免疫を持たない集団に感染者一人で何人うつすか」という指標です。

インフルエンザはこれが2-3と言われています。
つまり一人のインフルエンザ患者が、ワクチンをうっていない人の集団の中にはいると、
2,3人にうつす可能性がある、ということです。

さて、はしかはこの数字がどれくらいだと思いますか?

正解は16-21です。インフルエンザの約5-10倍もまわりにうつしやすい感染症なんです。

はしかの患者さんが1名でもでると、ニュースになる意味が少し納得できたでしょうか?

 

はしかの合併症の怖さ

 

もう一つのはしかの恐ろしい点、それは合併症です。

世界では1年間に約9万人が麻疹で命を落としていると言われています。

10人に4人が入院を必要とし、3人が何らかの合併症を起こすとされており、
1000人に1人が死亡します。

合併症で多いのは肺炎と脳炎で、根本的な治療法はありません。

後遺症として、精神発達遅滞、痙攣、行動異常、片麻痺などがあります。

「かかりやすさ」と「重篤な合併症」、
この二つがはしかが社会に与える大きなインパクトの原因となっています。

ということで、はしかは何といっても予防が重要です。

 

はしか予防に大切なこと

 

「過去に感染した」人と、「麻疹ワクチンを2回接種した人」は
はしかに新たにかかる心配はほぼありません。

「過去に感染した」かどうかは親に聞かないとわからないですが、
ワクチン接種歴については母子手帳で確認もできます。

KARADA内科クリニックでは、母子手帳をお持ちいただければ、
なんのワクチンが追加で必要かもアドバイスいたしますのでお気軽にご相談ください。

なお、はしかワクチンは国の制度の変更により定期接種は下記のようになっています。

1972年9月30日以前の生まれ:接種なし

1972年10月1日~1990年4月1日生まれ:1回接種

1990年4月2日以降の生まれ:2回接種

上のものはあくまで国の制度上の話ですので、
実際本当に接種をしたかどうかは母子手帳を確認する必要があります。

 

過去の予防接種歴が分からない方へ

 

母子手帳もなく、うったかどうかわからない、という方は選択肢は二つです。

1.抗体価を測定して抗体がなければワクチン接種

2.はしかと診断された人と3日以内に接触した方は、
抗体価測定を待たずにすぐにワクチン接種(発症予防になります)

※現在麻疹ワクチンは全国的に品薄ですので、
麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)での接種になります。

はしかの抗体検査はもちろん、ワクチンの事も、
KARADA(からだ)内科クリニックへご相談ください。

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KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医・指導医。 総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。 「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。 東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。 ●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演していた他、世界一受けたい授業・ザ!世界仰天ニュースなど出演多数 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

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