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公開:2020.01.20 新型コロナウイルス関連情報

武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について

※1/23追記

・感染者の人数や、最新の情報については厚生労働省・国立感染症研究所のホームページをご参照ください。

・感染の疑いがある患者さんに対応する職員(医師、看護師だけでなく受付スタッフ等も含む)は、サージカルマスク(普通のマスク)を装着し、標準予防策で対応する。

・検体を取るときには、「疫学的な知見に乏しい新興の呼吸器感染症への対応として、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウンを追加し、必要に応じてサージカルマスクではなくN95 マスクを着用する。」:接触感染予防策での対応とする。

【参考となるページ】

(クリック)厚生労働省・報道関係資料

(クリック)「2019-nCoV 感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」

(クリック)「新型コロナウイルスによる感染症患者の退院及び退院後の経過観察に関する方針」

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※1/21追記
・1/21に中華人民共和国国家衛生健康委員会の専門家は、武漢で患者のケアにあたった看護師等の医療従事者14名が感染した、と発表しました。

・亡くなってしまった4名のうち3名はいずれも高齢者であり、高齢者は重症化してしまうリスクがありそうです。もう一人については詳細不明です。

・日本への輸入症例では、41人の接触者調査が行われていますが、現時点で発症者はいません。

・SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)といったこれまでに流行した肺炎と比べ、致命率は低いと考えられています(SARSが9.6%、MERSは34.4%)。

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KARADA(カラダ)内科クリニック院長の佐藤です。

TVやネットでもニュースとなっている、中国湖北省武漢市から拡がりをみせている、新型コロナウイルスによる肺炎について述べたいと思います。

 

コロナウイルスによる肺炎の脅威は?

 

今週の金曜日、1月24日からは中国で春節の連休が始まり、例年では約80万人(通年で900万人)の中国人観光客が中国全土から訪日します。
この事実も重なり、不安を感じている方も多いと思いますが、下記に現在まで判明していることをまとめておきたいと思います。

まず大事なことは、現段階では「そこまで大騒ぎする必要はないウイルス」ということです。現在国内ではインフルエンザが流行していますが、基本的な対応は同じで、手指衛生と咳エチケットでの対応が重要です。

【肺炎患者の発生】
・昨年末から中国湖北省武漢市の海鮮市場に勤務する人、その家族を中心に原因不明の肺炎患者が発生
・これまでの合計198例の発症があった。うち、治癒して退院した方が25名、死者3名、健康観察を行った
・行っている接触者は累計817名、すでに健康観察終了は727名。

・タイや日本でも感染者が確認されている

【日本での出来事】
・武漢に滞在していた男性が、滞在中の1/3から発症し1/6に帰国した。1/10から肺炎の診断で神奈川県内の病院に入院していた。
検査の結果、新型コロナウイルス感染と判明したため、日本で最初の感染事例として報告された。

・この方はすでに退院されている。
・この方と接触があった人は、管轄の保健所により慎重な健康調査が行われている。

【現段階での感染リスク】
・ヒトからヒトへ感染するリスクは限定的で、これまでの流行性疾患のように爆発的に拡がる恐れは今のところない(ウイルスは変異することがあり、今後変わることもあり)
・医療スタッフへの感染はこれまでに報告なし。
・予防法(感染対策)は、手指衛生と咳エチケット(マスクの装着)。空気感染(同じ空間にいるだけで感染する)は今のところなさそう。

【死亡症例について】
・最初の死亡症例である61歳男性は、肝臓病などの持病があった様子。

【医療機関での対応】
詳細はリンクを参照(クリック)

 

どのような症状の場合、疑うべきか?

 

以下のⅠ-Ⅱ全てを満たす場合を「疑い例」とする。
I. 発熱(37.5 度以上)かつ呼吸器症状を有している。
II. 以下の(ア)、(イ)の曝露歴のいずれかを満たす。
発症から 2 週間以内に
(ア)武漢市内を訪問した。
(イ)武漢の新型コロナウイルスの患者、またはその疑いがある患者と 2 メートル以内での接触歴がある。
医療スタッフはサージカルマスク(いわゆる普通のマスク)を装着、患者自身にもマスクを装着してもらう。

疑い例については、インフルエンザなどの一般的な検査を行い、すべて陰性の時は管轄の保健所へ連絡し、指示を仰ぐ。
詳細はリンクを参照(クリック)

このような新型ウイルスについての情報は、日に日に更新され、情報はあっという間に古くなってしまいます。
信頼できる情報源から、日々情報をアップデートし、「正しくビビる・備える」ことが重要だと思います。下記まとめです。

★患者さんへ
・武漢への渡航後、発熱や咳・痰・呼吸苦などの症状が出た場合は、マスクを装着し医療機関へ受診してください。
その際、必ず武漢への渡航歴があることを病院スタッフにお伝えください。

・現段階で、感染力はそこまで強いウイルスではありません。インフルエンザ対策と同様に、手指衛生と咳エチケットが重要です。

★医療機関の皆様
・発熱または呼吸器症状を訴える患者に対して、武漢市への渡航歴(渡航地域、渡航期間)を聴取しましょう。
・渡航歴がある場合には、武漢市内の華南海鮮城(武汉华南海鲜水产批发市场、1 月 1 日以降、閉鎖中)や他の生鮮市場への訪問の有無、武漢市内での医療機関受診の有無、武漢市内での病人との接触の有無を確認しましょう。
・まずはインフルエンザ等の一般的な呼吸器感染症を念頭に診察をしましょう。
・胸部レントゲンで肺炎があった場合には、疑似症として管轄の保健所へ連絡をしましょう。
・疑似症サーベイランスの定義や運用については「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」
詳細はリンクを参照(クリック)
・感染対策は、患者も医療者もサージカルマスクを装着し、手指衛生などの標準予防策で対応を行いましょう。

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KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医・指導医。 総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。 「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。 東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。 ●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演していた他、世界一受けたい授業・ザ!世界仰天ニュースなど出演多数 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

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