KARADA(からだ)内科クリニック院長の佐藤です。
新型コロナウイルス感染症がじわじわと国内で拡がりを見せており、皆さんも感染予防対策を行っていることと思います。このような感染症が流行すると、「ワクチンがあれば…」と誰もが思うものです。
しかし、病気を予防してくれるワクチンは、効果がいまいちわかりにくい(予防してくれるのが当たり前で、気づかないうちに効果が出ている)ため、なかなか平時から積極的に接種しよう、と思う方は多くありません。
このような今だからこそ、すでに存在するワクチンで、予防可能な感染症を未然に防ぐ準備をお勧めいたします。特に今年は東京オリンピックも開催予定ですので、インバウンド感染症対策として、接種をお勧めしたいワクチンをご紹介したいと思います。
はしか(麻疹)と風疹を予防するワクチンが一つになっているものです。現在麻疹ワクチンと風疹ワクチンは流通量が少なく、単独で接種するのは困難ですが、このMRワクチンは充分流通しており、希望をすれば接種することが可能です。
接種の対象者ですが、「はしかや風疹にかかったことがなく、ワクチンを1回もうっていない人もしくは1回しかうっていない人」となります。
はしかも風疹も、一度かかったことがあれば、基本的にはもう感染することはありません。あったとしても症状は軽いものとなります。しかし、子供のころにかかっているとすると、両親に聞いてみるか、母子手帳を確認するかのどちらかになってしまいますので、不安な方は抗体検査という採血検査で、自分がワクチンをうつべきかどうか調べる検査もあります。
なぜMRワクチンが重要かといえば、はしかは空気感染をするので、飛沫をあびたりしなくても、同じ空間にいるだけで感染してしまうという、恐ろしく感染力が強いウイルスだからです。
1人の感染者から、16-21人に感染を拡げてしまうとされています。さらに、大人が感染してしまうと髄膜炎という重症な状態になり、命に危険が及んでしまうこともあります。また風疹は妊婦が感染してしまうと、赤ちゃんに障害を及ぼしてしまうため、確実に抗体を持っておくことが重要となります。
はしか、風疹はいまだに時々国内での流行が起こります。海外から持ち込まれるウイルスでもありますので、この機会に自分の抗体価を見直してみる、もし足りない場合にはワクチンを検討してください。母子手帳の見方がわからない場合には、当院へお持ちいただければ、接種が必要なワクチンをご提案することも可能です。
【価格(税抜)】MRワクチン10,000円 抗体価検査 各3,000円
髄膜炎菌は集団生活や、国際的なスポーツイベント(ワールドカップやオリンピックなど)のときに発症者がでると、流行してしまう可能性のある病気です。イスラム教では、聖地であるメッカへ巡礼する「ハッジ」と言われるイベントがあります。イスラーム暦12月8日から12日に行われ、150以上の国々から500万人以上がムスリム聖地メッカに集まります。
これだけの人が一斉に集まりますので、その感染リスクは非常に高いといえます。実際この髄膜炎菌によるアウトブレイクがしばしばハッジで起こっており、現在はハッジに参加する際は髄膜炎菌ワクチンの接種が義務付けられています。このような密集が起こりうるイベントや日常生活では必ず予防すべき感染症です。
感染経路は飛沫感染で、感染者と近距離で話をしたり、せきやくしゃみなどの飛沫をあびてしまうと感染してしまいます。血液中や脳を包んでいる膜を流れる体液(髄液)にこの菌が入ってしまうと、重症で命にかかわる感染症となってしまいます。詳細はリンク【髄膜炎菌感染症】をご参照ください。
昨年のラグビーワールドカップの際にも、オーストラリアからの観戦者も日本で発症し、入院をされています。幸い二次感染は拡がらず、事なきをえました。オリンピックだけではなく、学校の寮生活が始まる方や、警察学校に入られる方などは、ぜひこの機会にワクチン接種をお勧めいたします。
【価格(税抜)】メナクトラ®22,000円