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公開:2022.09.06 /
更新:2023.03.20
医療情報

帯状疱疹を予防するワクチン|シングリックス・水痘ワクチン

KARADA内科クリニック渋谷院長の田中です。

帯状疱疹のワクチンを、新ワクチン(シングリックス)旧ワクチン(水痘ワクチン)の比較を通して解説いたします。

帯状疱疹とは・・・?

帯状疱疹は皮膚の病気であり、感染症が関与しております。加齢に伴って発症率が高くなります。特に50歳代から急激に増加し、80歳までに約3人に1人が発症するとされています。(Open Forum Infect Dis. 2017 Jan 28;4(1):ofx007.)

比較的身近な病気の一つと言えるでしょう。

帯状疱疹の発疹が完治した後もその部位に痛みが持続する、PHNと呼ばれる帯状疱疹後神経痛という病気が存在します(J Epidemiol. 2015;25(10):617-25.)。

痛みが長引くことがあり、厄介な病気と言えるでしょう。

帯状疱疹の予防方法は、予防接種

現在日本では帯状疱疹を予防するために2種類のワクチンがあります。一つは、2016年に帯状疱疹の予防に関する認可がおりた水痘ワクチンです。もう一つは、20201月に認可されたシングリックスというワクチンです。

いずれのワクチンも適用年齢は50歳以上になります。ただし、前述の通り、発症の好発年齢も50歳以上です。

シングリックスと水痘ワクチンの徹底比較

2つのワクチンを前にどちらを接種したら良いものか、皆さん困惑されると思います。KARADA内科クリニックでは、2つのワクチン共にご用意がございます。両者を比較しながら、情報を提供させていただきます。

シングリックス

水痘ワクチン

適用年齢

50歳以上

種類

不活化ワクチン

生ワクチン

接種回数

2回(2回目は2ヶ月後)

1回

接種方法

筋肉注射

皮下注射

発症予防効果

90%以上

50-60%程度

帯状疱疹後神経痛(PHN)

発症抑制効果

70%以上

(50-69歳は100%)

60%以上

効果持続

9年以上

5年間

接種不可

新型コロナウィルスワクチン前後2週間以内に接種予定の方

特になし

妊婦さんと免疫不全のある方

費用

1回:23,100円(税込)

 1回:7,700円(税込)

接種回数と値段

  • 診察料
    初診料:3,300円 再診料:無料
  • シングリックス接種料
    2回接種(123,100円)のため、合計46,200円(税込)です。
  • 水痘ワクチン接種料
    1回接種のため、合計7,700円(税込)です。

効果

帯状疱疹の発症予防効果

シングリックス:約90%

水痘ワクチン:約50-60%

帯状疱疹後神経痛の発症予防効果

シングリックス:70%以上

水痘ワクチン:60%以上

生ワクチン?不活化ワクチン?その他のワクチンとの接種間隔は?

 いずれのワクチンも注意しなければならないのが、新型コロナウィルスワクチンです。新型コロナウィルスワクチンは、いかなるワクチンも前後2週間ワクチン接種ができません。(20226月時点)接種前に今一度ご確認ください。

シングリックスは不活化ワクチン、水痘ワクチンは生ワクチンと呼ばれるワクチンです。シングリックスは、新型コロナウィルスワクチンを除く、その他のワクチンとの接種間隔を全く気にすることがなく接種できます。

一方で、生ワクチンである水痘ワクチンは、他の生ワクチンを接種するのに28日間あけることが求められます。

副反応は?

水痘ワクチンよりもシングリックスの方が副反応の発現頻度が高いです。ただし、シングリックスの副反応は3日以内に症状が治ると言われております。

副反応比較表

シングリックス

水痘ワクチン

注射部位

約80%

約50%

全身性副反応

約65%

約10%

 

まとめ:各ワクチンの長所と短所

ここまでの情報を整理する形でも、それぞれのワクチンの長所と短所が見えてきたかと思います。コストと効果がポイントになってくるかと思います。

シングリックス

水痘ワクチン

長所

高い予防効果

安価

短所

高額・高頻度な副反応

妊婦さん/免疫不全の方

接種不可

接種に際して、まず考えるべきは、生ワクチンである水痘ワクチンを接種することができるかどうかです。KARADA内科クリニックの感染症専門医に是非相談してみてください。

様々な理由で免疫不全の状態にある患者さんが世の中には存在します。その方には水痘ワクチンを接種することができません。一方で、免疫不全の状態にあれば、帯状疱疹発症リスクを抱えていると考えられます。予防のために、ワクチンを接種すべき方・効果的に発症予防することができるとも言い換えられるでしょう。

、そのような方は、選択の余地はなく、接種するならば不活化ワクチンのシングリックスとなるでしょう。

免疫不全がない方は、みなさんの価値観や背景をもとに相談しながら、予防接種の種類を選択していくことが可能です。

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KARADA内科クリニック渋谷 院長 【資格】医学博士、日本感染症学会専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医、臨床研修指導医(厚生労働省) 東京だけではなく、北海道のオーホーツク海を目の前にしながらも総合内科医としてその地域に根ざした診療に従事してきた。また、内科の専門として感染症専門医としてもこれまで一般的な感染症診療のみならず、ワクチン接種や性感染症やHIV感染症などの診療にも取り組んできた。 また、研究者として、医療現場の日常に潜む倫理的な課題にも向き合いながら学会や論文で発信を続けている。

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