KARADA内科クリニック渋谷院長の田中です。
帯状疱疹のワクチンを、新ワクチン(シングリックス)と旧ワクチン(水痘ワクチン)の比較を通して解説いたします。
帯状疱疹は皮膚の病気であり、感染症が関与しております。加齢に伴って発症率が高くなります。特に50歳代から急激に増加し、80歳までに約3人に1人が発症するとされています。(Open Forum Infect Dis. 2017 Jan 28;4(1):ofx007.)
比較的身近な病気の一つと言えるでしょう。
帯状疱疹の発疹が完治した後もその部位に痛みが持続する、PHNと呼ばれる帯状疱疹後神経痛という病気が存在します(J Epidemiol. 2015;25(10):617-25.)。
痛みが長引くことがあり、厄介な病気と言えるでしょう。
現在日本では帯状疱疹を予防するために2種類のワクチンがあります。一つは、2016年に帯状疱疹の予防に関する認可がおりた水痘ワクチンです。もう一つは、2020年1月に認可されたシングリックスというワクチンです。
いずれのワクチンも適用年齢は50歳以上になります。ただし、前述の通り、発症の好発年齢も50歳以上です。
2つのワクチンを前にどちらを接種したら良いものか、皆さん困惑されると思います。KARADA内科クリニックでは、2つのワクチン共にご用意がございます。両者を比較しながら、情報を提供させていただきます。
シングリックス |
水痘ワクチン |
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適用年齢 |
50歳以上 |
|
種類 |
不活化ワクチン |
生ワクチン |
接種回数 |
2回(2回目は2ヶ月後) |
1回 |
接種方法 |
筋肉注射 |
皮下注射 |
発症予防効果 |
90%以上 |
50-60%程度 |
帯状疱疹後神経痛(PHN) 発症抑制効果 |
70%以上 (50-69歳は100%) |
60%以上 |
効果持続 |
9年以上 |
5年間 |
接種不可 |
新型コロナウィルスワクチン前後2週間以内に接種予定の方 |
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特になし |
妊婦さんと免疫不全のある方 |
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費用 |
1回:23,100円(税込) |
1回:7,700円(税込) |
シングリックス:約90%
水痘ワクチン:約50-60%
シングリックス:70%以上
水痘ワクチン:60%以上
いずれのワクチンも注意しなければならないのが、新型コロナウィルスワクチンです。新型コロナウィルスワクチンは、いかなるワクチンも前後2週間ワクチン接種ができません。(2022年6月時点)接種前に今一度ご確認ください。
シングリックスは不活化ワクチン、水痘ワクチンは生ワクチンと呼ばれるワクチンです。シングリックスは、新型コロナウィルスワクチンを除く、その他のワクチンとの接種間隔を全く気にすることがなく接種できます。
一方で、生ワクチンである水痘ワクチンは、他の生ワクチンを接種するのに28日間あけることが求められます。
水痘ワクチンよりもシングリックスの方が副反応の発現頻度が高いです。ただし、シングリックスの副反応は3日以内に症状が治ると言われております。
副反応比較表
シングリックス |
水痘ワクチン |
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注射部位 |
約80% |
約50% |
全身性副反応 |
約65% |
約10% |
ここまでの情報を整理する形でも、それぞれのワクチンの長所と短所が見えてきたかと思います。コストと効果がポイントになってくるかと思います。
シングリックス |
水痘ワクチン |
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長所 |
高い予防効果 |
安価 |
短所 |
高額・高頻度な副反応 |
妊婦さん/免疫不全の方 接種不可 |
接種に際して、まず考えるべきは、生ワクチンである水痘ワクチンを接種することができるかどうかです。KARADA内科クリニックの感染症専門医に是非相談してみてください。
様々な理由で免疫不全の状態にある患者さんが世の中には存在します。その方には水痘ワクチンを接種することができません。一方で、免疫不全の状態にあれば、帯状疱疹発症リスクを抱えていると考えられます。予防のために、ワクチンを接種すべき方・効果的に発症予防することができるとも言い換えられるでしょう。
、そのような方は、選択の余地はなく、接種するならば不活化ワクチンのシングリックスとなるでしょう。
免疫不全がない方は、みなさんの価値観や背景をもとに相談しながら、予防接種の種類を選択していくことが可能です。